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ポルノとフェミニズム その1

ちょっと学校の事を書きたくなりました。実は他の事を書いていたのだけどそれを説明するのにまたちょっとした背景説明があったほうが分かりやすいかな、と思いちょっと北米の女性学事情と自分のその中の立場をお話したいです(と言っても前置き長すぎて実際の話に行き着く前に他の事を書きたくなることがありますが・例:カウンセリングのトピック)

ポルノは色々な学部で学べるトピックです。法律、文学、芸術、社会学、様々。
北米で女性学では必ず通る話と言えるかもしれません。女性学というのは
どのエリアからも勉強できる大きな科目なので上の色々な面について
議論したりします。そしてそれらを支持する、しない、中間などの自由な
議論を色々な意見を聞きながら学べるのが理想ですし、目指したいやり方です。

ちょっとフェミニズムとポルノの関係について説明しますと。
まず一般的に女性学と言えば政治的な活動に興味を持っている学生が多いです。
まだ希望を持って勉強している若い学生が多いですし、日々女性としての権利やクイアとしての権利や色々な人権の話(クイア男性もいるし、クイアで人種的特権のない白人以外の人間、などなど)の問題に直接関わっていたり、問題提示に興味のある勉強をします。その傾向は
大学院ではさらに強くなり、理論を現実の実践を踏まえて学ぼうと試みる傾向が高い
学部です(こういった傾向もあり、レイプを防ぐセンターで働いている学生や、ストリッパーをしている学生など色々といます)。これは聞くところによると女性学と言っても日本の学生・教授の形と多少異なるようです。

そんな北米の女性学部ですが教授は学生ほどそう思っている人はいません。
なぜなら女性学を勉強したことがない、あまり興味のない教授も、研究内容に女性が関わっていたりすれば雇われることがあるからです。それと仕事がない状況ではどこでも雇われればいい、という人はどこにもいますよね。まったくフェミニズムに興味のない教員もいれば、ある教員もいます。それに興味のある教員の中でも政治的に行動を起こすフェミニスト(A)と行動派起こさないが勉強はするフェミニスト(B)がいますし。Bの立場が日本で多いのと同様、北米も少なくありません。でも日本ほどではないようですが。

そんな北米でAタイプのフェミニストがいる学部でもフェミニストも様々な種類や信じ方がありますからこれまた簡単にはいきません。お互い行動を起こしたいフェミニスト同士としても、信じるものが違えば対立するものに対して行動を起こしたい、ということもあるからです。例えばフェミニストと言っても人種の違いが頭ではわかっても気持ちがついていかない人物もいるし、頭でわかりたくない人もいるので女性でフェミニストで差別する人も少なくはないんですよ。まあ話しにならないタイプですね、これは。

あとは例えばポルノ廃止を考えるフェミニストが日本では目立ちます。北米でも反対する有名フェミニストも多いし、活動内容の事情でポルノを制限しないと人権を脅かす状況になってしまうこともあります。例えば子供のポルノというのも問題だし、ゲイメン用の未成年ポルノというのも同様です。それについての制限は筆者はどこまで線を引いたらいいのか実ははっきり決められていませんが。

同様に、ポルノをやり方や状況によっては支持したい、という人達もいます。筆者はこれに属します。日本でも多少いますし、北米で支持している人達はアーティストなども多く、写真、絵、ダンス、などのイベントや展覧会や本は多く露出していますしかなり人も入ります。日本の性産業で活躍している女性でフェミニストでとても興味深い論理を実践を交えて唱えている方もいます。南智子さんなどもその一人で筆者は応援しています。そこで興味深いという意味でお勧めしたいのは性産業で働いている女性達の多くが参加して書いているこの本です。

[ポット出版] 売る売らないはワタシが決める
この本では性風俗産業で働いているフェミニストや活動家とも呼べる女性達がポルノについて書いている学者、作家、弁護士などを相手に、名指しで挑戦的な記事を書いています。

個人的にはこの内容全てに同意するわけではありませんが読んで考えさせられることは多いと思います。自分は必ず両極端の立場の意見を聞きたいと思うたちなのでこの本はある意味両方の立場の意見が考えられるし、性産業の女性たちのシャープで鋭い意見が学者や偉いさん相手を斬っているのが気持ちいいものです。こういうことはどんどんやってもらったほうがいいと思います。
最後に南智子さんやその他の(男性も含めた)方達の議論が載っています。
歴史をふまえた話も出ますし、とてもおもしろい。
確かロフトプラスワンでのトークだったかな(違うかも。この本読みましたが忘れた)。

この中で記事を書いている女性と知り合ったことがありました。
彼女は勉強もしていて、頭もいいし、若い性風俗の女性を引っ張っていっていて
とてもかっこいい。彼女のような女性がどんどんでてきて欲しいと望んでいるし、
彼女達の言葉はもっと聞かれるべきだと思うのです。

ポルノは全てダメ、ポルノは全てイイ、というのは他のもの同様極論だと思っているし、
やぱり問題は中身で、どうやってそうなったのかなどのプロセスだと感じます。
それでフェミニストと呼ばれたい人もいれば呼ばれたくないけどやっていることは
同じ、など様々。自分に合ったやり方や呼ばれ方が選べるというのが大事だと思います。
そしてそのやり方、呼ばれ方などを知ろう、学ぼうとするまえに偏見で対応してしまうのが
一番問題。ポルノに対しても、学者に対しても、フェミニストに対しても、質を見て行く
事をお勧めしたい筆者です。

現実的な話に繋げると北米では両方の立場を理解できる教授が少なくないお陰で
支持したい立場の議論をしても自由に話ができる雰囲気があります。
でも日本の学界では反ポルノフェミニストの学者が多いため
支持する議論が凄く出しにくいと聞いたことがあります。
もちろん支持していたり中立派で色々な意見を聞いてくれる学者も
いるでしょうが実際に支持する論文を書き卒業してもそれを元に
仕事が取れない、など先々のポリティクスに繋がるようです。
これをふまえても質をみてほしいし、学者に挑戦するセックス・ワーカーに
頑張ってもらいたいと思う筆者でした。

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feminism」カテゴリの記事

コメント

akaboshiさん。えー、ホントに買って下さったんですね。心に留めてくれてありがとうです!ええ、どうぞ時間お好きなだけ掛けて下さい。目次見て読みやすそうな記事(例えば最後の南さんのロフトでの対談とか)から読むと楽しいかもしれません。南さんは現役のアダルト映像女優しても活躍なさってる方でとても尊敬できる方のようです。自分もまた本読み返してみようかな。

投稿: flowfree | 2005/10/15 19:55

この本、ネットで本当に買いました。
読んだら記事書きますね〜(ちょっと先になるかもしれませんが・・笑)。

投稿: akaboshi07 | 2005/10/15 17:06

あ、akaboshiさん。TBもしてくれたようで、どうもです。日活ロマンポルノもポルノ廃止主義者には全く受け入れられません。完璧に全てだめで、ポルノの存在自体が諸悪の根源と理論づけられています。

でもこの本、本当に面白いですよ。家にちゃんとあって、本棚に入ってます。お勧めなんです、ほんとに。手にする機会ができたら是非コメでも下さい。

投稿: flowfree | 2005/10/10 16:31

「ポルノ廃止を考えるフェミニストが日本では目立ちます」とありますが、
そのような人たちから見たら、「日活ロマンポルノ」等の映画表現は
どのように線を引くのでしょうかね。その主張が気になります。

「売る売らないはワタシが決める」、興味があるので
読んでみようと思います。

投稿: akaboshi07 | 2005/10/10 11:52

nicoさん。そうですよね、ポルノ系は日本のほうが垣根が低い、ってありますよね。一つ思ったのは欧米はキリスト文化の影響があればあるほどポルノやセクシュアィティーを宗教家、法律化、歴史化しやすくて”勉強・分析”がしやすいような。それらを文化の特権としても、disadvantageとしても研究しやすい環境にある気がします。実際そういう授業は大学で多くありますし。日本は歴史的に研究してる方は増えているようですが宗教、法律となると弱くなってきますよね、多少はあっても。セクシュアリティー研究こそ欧米から日本にも輸入され流行ってますがフェミニズムの輸入は日本の文化や傾向を反映しているようでほんと一部だし、どうしてそうなるかな〜と悩めるものもあったりして、海を越えてのフェミニズムの橋を架けるのはたやすくないようですが・・・希望は捨てませんが・・・

投稿: flowfree | 2005/09/27 16:26

あ、大統領もやっぱりそう思いますか。結構理解が深いですよね、日本の学界で研究関係をやっている方(としたらの話^^)でそういうお考えだったら心強いですね。日本はキャサリン・マキノンという反ポルノを訴えてセクハラの原理を作った教授で弁護士のフェミニストがとても人気があり、訳本もみんなこぞって読むようです。やっぱり弁護士としての立場、セクハラを法律として設立するという目的のためには極論を唱えないといけない、ということもあるようで彼女自身が信じたり、やったりすることとは別なようです。それはある程度分析したり勉強したりするとわかってくることなのですが、日本の多くのマキノン信者フェミニストは弁護士やセクハラの目的とは関係ないところでも反ポルノ〜と右へ倣えしてしまっている気がします。
ホント、理論と現実のリンクは信憑性を出すにも大事ですし、エネルギーや時間を現場でかけずに知ったかぶり、は”それまでのもの”でしかないですよね。
数年前自分がこの本関係の方達と会った時はセックスワーカー対反ポルノ学者の対決(^^;)があったようですよ。勉強会などの情報あったりしたらまわしますー。

投稿: flowfree | 2005/09/27 16:10

あ、お三人さん。読んでくれてありがとうございます、ホントに。
今みると結構長いですね。内容はシンプルだと思うんですが。
ちょっと一言日頃の感謝の気持ち言って見ました^0^
結構年末頃まで返事やアップがかなり不定期になるかも、ですが
皆様のブログになるべく寄って読んでコメも残したいと思っております。
引き続きよろしくお願いしますデス。

投稿: flowfree | 2005/09/27 15:58

フェミニズムの定義とか枠が、広いと言うか曖昧なんですね。日本ではその一部だけが輸入されて根付いてるって感じでしょうか?欧米の方が自由に見えて実際は日本の方が垣根の低い(同じフロアにあったり^^)ポルノですが、これを学問の範疇でとらえようとする向きは絶対的に少ないですよね。なぜなんだろう?
あ、ウメポチさんと同じ疑問か。
もっとポルノについて考えてみたくなりました。

投稿: nico | 2005/09/27 08:30

ちゃ〜っす♪
Flowfree先生。
 日本の世間では、反ポルノ・フェミニストが多いイメージ(あくまでも)が蔓延しているような気がします。反ポルノ・フェミの方々は善悪二元論で現状を分析するのかな?理論ガチガチで現場での経験知がない方は特に?
 現場至上主義ではありませんが、理論が現実とリンクしていないと、説得力がないと思います。例えば、肉体労働未経験の労働問題の専門家(笑)外部者でもその現場でモノを考える姿勢は大事かなあっと。
 一例ですが、セックスワーカーの問題を取り上げる場合、彼女や彼らの現場に肉迫したセンセイ、どれくらいいるのだろう?このへんは専門外なのですが・・・。現実の世界で「のほほん」としているセンセイ、共感できひんなあ〜。個人的な見解では。

投稿: huimuseum | 2005/09/26 21:04

ウメポチさん。そうなんだー、同じフロアはまずいよね。
ほんと、性の可能性って色々あると思うから何も知ろうとせずに反になるのは考えモノです。まあ、女性学はノリや流れが北米と日本では違いもあり日本の女性学はちょっと自分は苦手な部分ありますが^^;まあ堅く考えず、視点や気が合う人はどこにもいるから多少でもいいかな、と思ったらそれで十分の気持ちで手つけてます。何事も全部理解することはムリですもんね。

投稿: flowfree | 2005/09/26 15:20

女性学て、解るようで解らない不可思議なジャンルです。
でもポルノのことだったら解る!一番の得意分野だから。
日本のフェミニスト学者に反ポルノの人が多いてのはいただけませんねぇ。私としては。
ポルノも文化だし、「性」ってあらゆる学問に繋がって行く高尚なジャンルだし、なぜ否定的になるのか解らない。
あ、でも、日本の本屋って、幼児ポルノマンガと幼児向け絵本と同じフロア(近い場所)に置いてる大型書店もあるから、そういうデリカシーのないところは考えないといけないと思うけども。

投稿: umepochisky | 2005/09/26 09:26

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