« 少数派の理論のヒエラルキー(階層) | トップページ | 海外進出カルト宗教 2 »

冤罪とは人間以下とみなす意の暗号か

日本で冤罪で30年も刑務所に入れられていたというケースは珍しくないようだし、後にどんなにそれが冤罪だったか、と明らかな証拠がでても棄却されている。ザ・スクープの動画ニュースで見た冤罪 狭山事件はひどい。部落出身者であった石川さんなどの話を聞くとくやしいし、似た事件が現在も起きている(2003年の鹿児島事件)のと、狭山事件が未だに(今年3月)再審の請求を棄却されているのをみると、何も変わらない日本警察の体制、部落、少数派民族への差別が明らかに見える。こういう状況に関わっていないとされる、自分らとの違いは一体なんなのだろう。実はちょっとの違いしかないのではないか。明日はわが身と感じて、他人事と思わずに知識も増やし、何ができるか考えたい。この機会に筆者が見てきた外国での、冤罪を日常生活の一部として経験している人達の事と比較してみると共通した構造があるように思える。

筆者は”キャリアと活動”の記事の中で話したが、今住んでいるところで”最も最低の地位に位置した生活をしている”と言われる路上生活者とプロジェクトを通じ働いていた。彼らは路上生活者で、HIVウイルスを持っていて、注射を使った薬をやっていて(た)、監獄を行ったり来たりという人達だ。彼らの(このグループ以外も)多くは白人と先住民でアジア系は少ない。この彼らも警察にいつも囲まれ、なにかと言うとすぐ逮捕され牢屋に連れて行かれる。例えば覚せい剤の代わりに支給された他の薬(体に害はない)。警察が急に、それを見せろ、と言ってもし彼らが見せられなかったら手錠をはめ牢屋だ。急になにかを出せ、と言われ、しまった所を忘れたり、人に持ってもらっていたり、ましては路上生活者なのだから置いてあるところが曖昧になるのは当然だと思う。そんな弱みに付け込む、わかった上での逮捕なのだ。彼らも日常茶飯事となるとしょうがない、とも思うし、余計に腹が立ち薬に頼りたくなるし、暴れたくなる気も失せるどころが増えていく、というのが理解できる。それを疑問に思わなくなってしまうところが権威主義制度のしたで慣らされてしまう、冤罪のシステム構造だと思う。やっていないことや、罪を感じていなくてもやった、ということにすれば食事も寝場所も確保される。

良く筆者が感じたことは、自分のようなアジア人のクイアで(彼らの中にクイアの男女もいる)大学関連で送られた人間を彼らはどう思うのか。ヒエラルキーが明らかだし、以前話したように彼らはとても頭がいいから経済の浮き沈みで政府からの自分たちへの扱われ方が変わる、というのも十分知っている。そういったところで白人よりも下に見られているアジア人が移民したり、留学したりして自分の町に金を落とし、よくも悪くも政府関係や経済構造に貢献している。特にそれがここ10年増え続けているのを彼らは知っているし、そんな結果の中での彼らとの上下の関係を持ったプロジェクトだ。まあ、もちろん、人間関係を始めに築くのが先だと思ってむやみやたらに発言もしないよう控えたり、彼らの感じることをまず理解しようと思った。それに彼らは選ばれた人間でもあったので誇りを持っていたし、他人を尊重する。逆に筆者との関係もどうしたらいいかわからなかったと思う。とにかく、そんな頭のいい彼らでも冤罪は当たり前という日々を過ごしているのを見ると、そういったことを疑問に思うのはそれ以上の暮らしをしている人達だけ、というのがわかってくる。

非利益団体でそういった状況を変えよう、と監獄に通って人と話をしたり、上に問題定義をしたり、ということをやっている人達と一緒に働いていたのだがなかなかここのレベルから”普通”中流の生活のレベルに疑問視されていくように物事を運ぶのはたやすくない。そこのレベルのなかでどうしよう、ということがまず先だからそれが進まないとそのまま、レベルを保ったままで、中流・普通の生活の質問にならないのである。冤罪は彼らが”ふつう”と認められて初めて問題視されるもの。結局、普通以下、人間以下、となっているのだ。

アメリカでの黒人への扱いも似たものだ。この場合、社会的地位は関係がなかったりする。もちろん、労働階級の方たちが多く住む場所での違法逮捕は多い。日本のアメリカ基地で働いていた黒人男性と結婚した知り合いがいるのだが二人がアメリカに移り住んでからその彼は何度も捕まっている。やっていないことでも、弁護士を雇って裁判をして戦うよりも、認めて、牢屋に数日入ったほうが安くすむのだ。もし一度、二度、に弁護しを雇っても、黒人という人種である限り、将来的に何度も繰り返されるとなると、銀行に”冤罪裁判ローン”でも組みこまないとやっていけないだろう。全くおかしい。これは悲しいことだが黒人の間では日常茶飯事なのだ。他の誰もがやっているちょっとしたスピード違反も黒人だと捕まる率が一気に上がる。あたかも黒人を捕まえる優先順位があるように(いや、あるのは確実と言ってもいいくらいだ)。そして以前デトロイトの大学内のキャンパスで黒人の大御所教授がリンチにあった。偏見・差別が理由だったと思う。これも裁判でかなり複雑にもっていかれ、彼が教授という事実も、キャリアも、研究の質も疑われた。こういった話は数限りない。

日本の少数民族も警察には人間以下、とみなされていて、冤罪を違法にもっていかないようにされているのか。警察のシステムを知らない、知識がない、ということを逆手にとり、自白をさせる。後で気づき、知識を得たあとの気持ちを考えるととてもやり切れない。自白しろと追い込まれ、入院患者10人、自殺未遂3人を出した鹿児島事件もインタビューを見ると本当に急激な精神の変化を持たされ、命を危ぶまれる気持ちが伝わってくる。だけど死ぬのは解決にならない。その気持ちを原動力に変えて、少しづつでもいいから行動に変えようではないか。自分は人事とは思えない。これらの動きをこれからも見ていきたい。

|

« 少数派の理論のヒエラルキー(階層) | トップページ | 海外進出カルト宗教 2 »

未分類」カテゴリの記事

コメント

huimuseumさん、率直なコメント有難う。ニュース以外は”陽気な一面”が多く出てるんですねえ。それもちょっと驚きました。やっぱり差別などの応対も”進んでいる”という印象なのかな。まあ、ある意味ではかなりのレベルの違いが日本とありますが北米にはその構造にも入れようとしない部分の人々がいる、ということでしょうか。

そちらのライフログでのhuimuseumさんの日本内でのエスニシティーの興味、伺えました。自分も海外に出てから興味を持った次第で、まだまだですが本はちょろちょろ読むようにしています。関西での構造と関東、ちょっと違いますね。同和、の意味では広島など原爆の影響からかかなり教育の力の入れ方も違うようです。関東でも地域によっては部落の方たち多いのですが”身近”には語られてないと感じます。彼らの日常の記録、興味あります。今度の機会に買ってきたいです。

投稿: flowfree | 2005/07/06 04:23

akaboshi07さん。>僕も人事とは思えない。。。
有難う。誰かもそう感じているんだ、と思えるのはやっぱりうれしいですね。
近代化するにつれて迫害が強まっている、というのはそちらでも書きましたが日本も明らかにそうです。絵も含む芸術もその傾向はあるようです。
無理解から来る、というのも納得です。>知らないことに対して否定したり。。。の文、その通りだと自分も感じます。否定したり、ないものにするっていうのはほんと簡単です。良く”どこから始めたらわからないから”なんてまわりの日本からの関係者は良く言ってました。”学問と活動なんて一緒にできるのは無理だし”なども。ただ、ちょっと本を読み始めるとか、ニュースに関心を持つ、とか何でもいい。歴史繰り返して来てる気がする現在、こういう事をあるていど主張するのも意味があると思いたい。
またご意見お聞かせ下さい。 

投稿: flowfree | 2005/07/06 03:35

 うーむ・・・USAの人種差別(便宜的にこの概念を使いますね)もまだまだあるんですねえ。日本にいると、USAの「陽気な一面」しか感じられないので、衝撃的っす。(USAのニュースを確認している場合は別よ)
 狭山事件といえば・・・・被差別部落。最近、海外の人類学だけではなく、日本の民俗学や社会学にも興味を持つようになりました。それで、被差別部落の書籍を二・三購入。関西出身者としては比較的「身近」な問題なのですが、都心の方は全然知らないので意外。ライフログにも掲載しているのですが、最近になって、「被差別部落民」の日常をそのまま描写した記録が増えつつあるよーです。

投稿: huimuseum | 2005/07/04 12:15

僕も、人事とは思えないと思います、こういうことって。
今、Blogをはじめたことで関心を持ったので
同性愛の歴史についての本を読み始めているのですが・・・
近代化するにつれて迫害が強まっていたことを知りました。
それも、基本的には無理解から来るものだと感じます。
知らないことに対して否定したり、ないものにすることは簡単だけど
そういう思考停止を放っておくと、歴史なんて簡単に
いくらでも繰り返すものだと思います。

投稿: akaboshi07 | 2005/07/03 16:49

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 冤罪とは人間以下とみなす意の暗号か:

« 少数派の理論のヒエラルキー(階層) | トップページ | 海外進出カルト宗教 2 »