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貧富の差が激しいと考えること- ビジネス、戦争、性

アフリカのある町のドキュメンタリー、Darwin's Nightmareを観た。これは階級の低い人口の多いところの川に1970年代ごろある人物(明らかにされてはいないが植民地政策に関連する白人)がNile Perchという2mほどある魚を放って以来、魚は増え、現在は大漁に捕れ、工場もできれば人も何千人という人も雇われ、町はかなりの救いになり、その魚は
ヨーロッパを中心に日本にまで送られ買われてビジネスに発展した。が、その背景にはいったい何が。。。というのを人への日々のインタビュー、雰囲気、状況から映し出しているもの。


今まで生きるのにも苦しかった地元民。そして何千人と働けるようになったが、それでも仕事が得られない大人、子供は大勢いて、女性は売春をする。学校の先生だった男性も現在は漁師を指示する役をしていてその町の貧富の差を切々と語る。

しかし問題が出てきた。このナイルパーチという魚がどでかく、他の魚をたくさん食べてしまうため、海の中の生き物が生きていくために必要な微生物などなど、色々な食物連鎖が壊れ、海はおろか人間の生きていく環境にも影響を起こしている。アフリカの数々の町を行ったりきたりしている植民地政策内の白人がこれは大変だ、と記者会見を開く。地元民は笑いながらもちろん頭にいれておく話だけど。。。とみながもうどうすることもできない、というように笑い出す。魚を持ってきたのは彼らたちではないが、それをロシアの人物がビジネスにして何千人と雇い、ヨーロッパと仕事もしているのだ。

そんな状況をオーナーは黒人はみんな怠け者で仕事をしない、という。しかし映像では夜中に魚工場のパトロールをしている人物が一日一ドルでやっている、と話す。仕事がないし、この仕事も前回働いていた人物がばらばらに体を切られ殺されたから自分にまわって来たんだ、という。自分は以前戦争に行ったがそのときは金にもなったし教育も得られたからどれだけ良かったか、と話す。戦争のおかげでお金も入り、食事も出来、教育も受けられるのだから戦争があったほうが良いに決まっているだろう、と。人を殺すから勝てるんだから殺さないといけないときは殺すしかない、と。自分は何も怖がっていない、と。

ホームレスの子供たちは炊いたお米を素手で取り合いし、殴り合いの喧嘩。つらい日々でなかなか眠れない状態をプラスチックを火で溶かして吸うことで眠るようにしている、という。そのプラスチックとは魚を出し入れするときに使う発泡スチロールだった。浜辺でご飯と炊いたものと同じであろう火で発泡スチロールを溶かし友人同士で吸って眠りに入る。

そして町の売春婦(一人は撮影の時期にオーストラリア人に殺された)、魚を飛行機でヨーロッパ中に運ぶロシア人達、そして新聞、テレビを読むアフリカ人はまず飛行機は空っぽのままアフリカに来てそれから魚を積み込み離陸する、という。しかし、少しずつ判明した。実はロシアから爆弾、銃、戦車・タンクなどをアフリカに運んでいるのだった。これが魚のビジネスとの引き換えになっているようだ。

魚も身を落とし、骨と粗だけになったらごみにとして持ち出されるがその何千トンともいうものを干してさらに油で揚げて、日本も含めた世界に売りに出されるという。しかしその粗の部分の魚はカートで運ばれ、ドサッ、とそのまま土の上に山積みされる。そして生のグチャグチャのままに干される用の木に片目の潰れた女性が置いていく。しかし、数が数だけに、着いたものを数人ですぐに干せないのであろう、土の上にはまだまだどっさり何メートルを先まで粗は置かれ、魚は蛆虫だらけ。そして裸足で働いている女性の足にも蛆虫はまとわりついている(きっと靴を履いても蛆虫だらけになるので裸足にしているのだろう)。そして仕事があって良かった、と感謝をしている。ただ、そこで働いていると魚から出てくる酸(腐ったもので)が目にしみて来て目が痛くなり、潰れた、という。この状況を見ると仕事がほしくてしょうがない黒人が大勢いるのは明らかだ。

そして最後にロシア人のパイロットが少しだけ、と告白。自分はタンク(戦車)をアフリカに持ってきて、魚をドイツに運び、ドイツでぶどうをロシアに持ってくるんだ、と。クリスマスプレゼントにロシア人の子供はぶどうをもらい、アフリカの子供は銃をもらうんだ、と話すものがいた、と。でもこれはビジネスだ、と。”自分は世界中のこどもに幸せになってもらいたい、とは思う。だけどどうやっていいかわからない。。。。。”下を向き、もうこれ以上の言葉は出せない、といった。

植民地政策というものはいつも戦争や性、金がかかわっている(Cynthia Enloe シンシア・エンローという学者はこういった視点から研究を続けている)。このアフリカで武器が持ってこられたのもアフリカだけで使われるのではなく、その場所の警備が甘い、ということで色々な国が持っていっている、という。日本にその魚が送られ売られている、という話からいってもこの政策は他人事ではないだろう。しかし直接に手を下しているものたちにどれだけ選択があるというのか。戦争を望む人物、文化の背景というのはとても複雑で力のある人物・国からの影響は計り知れない。

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コメント

huimuseumさん、誤字脱字が何度読んでもあるのに(苦笑)しっかりと読んでくれて本当に有り難う!実はこの写真を入れるのにネットサーフィンしてたら映画を撮った監督のサイトに続いたのでメールを書いてインスピレーションを受けました、と書いたんです。そしたらすぐ返事が来てつっこまれました。”日本に売ってるのは魚の頭じゃなくてフィレ(中身)だよ”と。きっと缶づめになってるんじゃないでしょうか。しかしあのウジ虫だらけの粗の映像はショッキング。匂いも良く考えれば想像し難い位強いでしょうねえ。こういう魚も油で揚げられればウジ虫もおいしいタンパク質になって?衣に隠されわからないのかな。

この映画のタイトルはダーウィンのsurvival of the fittest(環境に合ったものだけが生き残る)を皮肉に取ったもの。人類学の授業に使えるな、と思われます。

投稿: flowfree | 2005/06/18 07:21

 最新(?)の刺激的なドキュメンタリー番組や映画のご紹介。いつも有難うございます!へえ〜、USAは日本よりもこうした貴重な情報が多いだけでなく、色々なところで公開されるのでしょうねえ。
 一匹の魚の放流がもたらした喜劇と悲劇。その影響は当事者の生活だけでなく、他地域の世界にも確実に広がっている・・・こうした切り口は学問にも必要ですよねえ。FW(フィールドワーク)や民族誌記述のあり方を再考するうえで大いに参考になりそーです。

投稿: huimuseum | 2005/06/17 20:13

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